2011年5月15日日曜日

春休み合宿(Ⅱ)

春休みの間、息子には実家で過ごしてもらうことにしました。最初の数日間は私が一緒にいることにしました。


実家の方は一段と春めいていました。
そして、揺れない。全然揺れない。関東にいるとひっきりなしにやってくる余震や地鳴りが全く無い。
夜、久しぶりに静かに眠れた気がしました。


実家にいる間に一度、息子と一緒に近くのお山にハイキングに出かけました。一番高いピークで300mくらいだけど、歩行距離は10kmちょいくらい。程好い足慣らしになりました。


東北地方太平洋沖地震M9。地震学の専門家の間でも、この規模の地震が今回の地域で起きることはないと考えられてきたとか。津波については相当なものが過去に起こった痕跡が残っているそうですね。学問上考えられる範囲を越えていたとは言え、地震後の調査によってどんな範囲でどのくらいの地質的な変異が起きたかがひと月程度で分かってきました。これはすごいと思いました。専門の方たちの熱意には敬服します。


環境放射線に関する情報は、当初非常に限られていましたが、その後次第にいろんな地点での測定値がアクセス可能になってきました。いざ自分の家族をどおするか、となると、生に近いデータを直接見ないと判断できませんね。それから、高エネルギー加速器研究機構などの専門家の方々が行った放射線分布測定の結果が、4月に公開されていたのを拝見しましたが、可能な限り稠密で信頼できる測定とそれに基づく専門的な考察があって、どんな状況かを理解するのに役立ちました。




過去50年にわたって人工放射能を測定してきた結果を見ると、過去の大気中核実験にともなう放射性核種がどれほどたくさん私たちの頭の上に降り注いでいたかが分かります。私の幼少期には、2009年頃のレベル(~0.01Bq/m2/month)のおよそ100倍程度(~1Bq/m2/month)のストロンチウム90やセシウム137が、継続的に降ってきていたようです。私の生まれる10年前前後は、さらにその10倍から100倍(10-100Bq/m2/month)。チェルノブイリの事故の際には、一時的に、その時と同じくらい(100Bq/m2/month)とのことです。測定期間中の最大値は、セシウム137で約550Bq/m2/month (1963年6月)だそうです。


一方、今回の原発事故について読売新聞(2011年4月6日)が文科省の情報を元に計算した値を見ると、3月18日から4月5日までのセシウム137の降下量が関東平均で 6353Bq/m2だったそうです。大雑把に言えば、過去50年で最も降下量の多かった時の年間降下量に匹敵するオーダーの放射能が、事故後、降ってきたことになります。これが、自分や家族の健康に対してどんな影響を与えるかは正直わかりません。直ちにということは無いにせよ、10年後20年後になると分からなくなります




健康被害が怖いからと言って、どこかに移住する?ずっと離れた西日本へ。としても、原発災害のリスクを考えると本質的には変らないことになります。日本の海岸部にはいたるところに原発が建っていて、地震津波による(またはテロなどによる)過酷な災害が、明日にでも起こらない保証はないのですよね。。




野口聡一さんが国際宇宙ステーションから撮った、きらめく東京。

昨年この写真を見た時、ほんとに綺麗だなぁと思いました。この光のみなもとの一部が原発でまかなわれていて、その原発の一つがまさか一年後にこんなことになるなんて。

ウィキペディアを見ると、東京電力の場合、全体の電力の4分の1程度を原子力に頼っているそうですね。お国の原子力政策の成り立ちや背景について詳しくは知りませんが、白書をいくつか見ると、原子力発電の必要性は、エネルギー安全保障上の理由と低炭素社会実現のための”クリーンエネルギー”として、主に語られているようです。実際には政治的その他いろいろな利権が介在しているのでしょうが。。




私が子供の頃も、原発は夢のエネルギーとして宣伝されていました。子供の目にも、魅力的な技術であることは分かりました。その反面、広島・長崎の原爆のことや、使用済み核燃料の最終処理が技術的に未完成なことを時おり見聞きして、そう単純な話ではないことも分かりました。

ひとたび今回のような事故が起きると「電力会社けしからん。国はどおした。」と批判したくなりますが、そういう事故のリスクが元々あったということは、日常的に流れてくる情報の端々から予め気づくことは出来たし、その気になれば具体的な問題点まで、ある程度のことは調べられたのです。素人にだって。そして、夏場に節電のために暑い思いをするのも、電気料金が値上げされて愚痴をこぼすのも、その他有形無形のコストを最終的に背負い込むのも、結局は私たち自身なのですよね。





4月始めに子供が帰ってきました。年上の従兄弟たちとも遊んでもらって、一皮向けた感じがしました。

選挙権を与えられて約20年。子供から近い将来、どおして今回のようなことが起きたのか詰問されたとして、俺は知らないとは最早言えない。総務省統計局の資料によると、平成23年4月1日付けの概算で、20歳以上人口は 1億0499万人。国政に対して私のような者が持つ力は極めて小さいですが、できることを淡々とやるしかありませんね。



次回、まずは「知る」をテーマに
「旅して学べ,米山ほか」
かみんぐす~ん!

Yodel-Ay-Eeee-Oooo♪